令和7年8月

 8月上旬、愛宕谷公園から出発し、愛宕谷池、春日山神社、直江屋敷を経由して春日山城本丸へ。そこから柿崎屋敷、南三の丸、権現堂、岩木三叉路を経由して、春日山の大手道へ下るコースを歩きました。
 8月中旬、大手道から南三の丸を経由して権現堂へ。そこから南三の丸へ引き返して柿崎屋敷、本丸、二の丸を経由して春日山神社に下り、さらに愛宕谷池、愛宕谷公園に至るルートを歩きました。
 8月下旬、大手道から岩木三叉路、権現堂、南三の丸、柿崎屋敷を経由して本丸に至り、さらに直江屋敷を経由して春日山神社に降りるルートを歩きました。また別日に、愛宕谷公園を訪れました。
(令和7年9月1日更新)

 以下の植物や動物が観察できました。

ヒメジョオン  ツユクサ  カタバミ  シロツメクサ  ヒメヤブラン  ミズヒキ  
ヌマトラノオ  ヘクソカズラ  ホツツジ  ゲンノショウコ  ケキツネノボタン  
コバギボウシ  ヤハズソウ  ヌスビトハギ  オトギリソウ  ウリクサ  
エノコログサ  キンエノコロ  アキノエノコログサ

ニイニイゼミ  アカエゾゼミ  ツクツクボウシ  オオシオカラトンボ  
ヤマトシジミ  ヒグラシ  マエキヒメシャク  クマバチ  タマムシ  
ベニシジミ  アブラゼミ  フタテンオエダシャク  ミンミンゼミ  マメコガネ  
シオカラトンボ  モンキアゲハ

ヒガシニホンアマガエル

ニホンカナヘビ

ホオジロ  アオサギ  ホトトギス  ウグイス  ヒヨドリ  コゲラ  イカル  
ハシボソガラス  ハシブトガラス  ヤマガラ


ヒメヤブラン
ミズヒキ

 8月上旬、春日山城本丸にヒメヤブランが咲いていました。小さい上に、花びらが開いていなかったので、見逃してしまいそうですが、数株が周囲に散らばって咲いていました。ヒメヤブランと同じヤブラン属にヤブランというのがありますが、イー薬草・ドット・コムで、ヤブランの根の肥大部分を初冬に採取して乾燥させたものをダイヨウバクモンドウ(大葉麦門冬)と呼び、滋養、強壮、催乳、せき止めなどに用いられると紹介しています(2)。ヒメヤブランの根も同じように利用できるようです。
 ミズヒキは、柿崎屋敷から南三の丸に下る途中で咲いていました。ピンク色の小さな可愛い花がたくさんついています。このミズヒキも、イー薬草・ドット・コムで、花が咲いている時期に全草を採取して乾燥したものが中国でキンセンソウ(金線草)と呼ばれ、鼻血、内出血などを止めて、腰痛、胃痛の痛みを緩和する妙薬として用いられていたと紹介されています(2)

ヌマトラノオ
ホツツジ
ヘクソカズラ

 8月中旬、ヌマトラノオとホツツジとヘクソカズラが大手道に咲いていました。iPadに入れている植物同定アプリを使うと、どのアプリもヌマトラノオをオカトラノオと同定しますが、ヌマトラノオとオカトラノオとでは総状花序の形状が全く違うのに、どうしてこれをオカトラノオと同定するのかがよく分かりません。ただ、オカトラノオとヌマトラノオの間には、イヌヌマトラノオという雑種が生まれることがあるそうです(3)。ホツツジも、植物同定アプリはどういうわけだかこれをクロフネツツジと同定します。花の形状が全く違うのですが。ヘクソカズラは漢字で書くと屁糞葛で、一度聞くと忘れられない名です。それもそのはず、葉や茎を傷つけると大層臭いらしく、なんと奈良時代には既にそんな名で呼ばれていたとか。意外にも、そんなヘクソカズラには薬効があるそうで、イー薬草・ドット・コムには、生の果実を潰して、市販のハンドクリーム5に対して果実1の割合で、良く練り合わせ、しもやけ、ひび、あかぎれなどの患部に厚く塗ってガーゼなどで押さえておき、朝夕1日2回くらいは取り替えていると、 皮膚にうるおいが出て驚くような作用があるとか、腎臓病、かっけ、下痢止めなどには、乾燥した根茎を刻んで約10グラムを、水約0.5リットルで煎じて服用する、などと書かれています(2)

コバギボウシ
ヤハズソウ
ヌスビトハギ
オトギリソウ
ウリクサ
キンエノコロ

 8月下旬、ずっと猛暑が続いています。山中を歩くのも肉体的にかなり厳しく、体力と精神力の消耗がハンパないです。上越市の渇水傾向も、雨が降って多少は持ち直したとはいえ、依然として楽観視できる状況にはありません。山の生き物にとっても辛い状況が続いています。そんな中でも、健気に花を咲かせている植物がありました。
 コバギボウシ、ヤハズソウ、ヌスビトハギは大手道で、オトギリソウは南三の丸で見つけました。オトギリソウは、日本薬学会のサイトで、晩夏から初秋にかけて、果実が成熟する頃に全草を日干しにしたものをショウレンギョウ(小連翹)」と呼び、煎じ液は止血、月経不順、鎮痛の目的で服用され、浴剤はリウマチ、神経痛、痛風に、また、薬酒でリウマチ、神経痛の予防に、煎汁を扁桃腺炎のうがい薬として用いるなど、用途が多いと紹介しています(4)
 愛宕谷公園にウリクサとキンエノコロが生えていました。どちらも畑や空き地に生えるありふれた雑草です。エノコログサやアキノエノコログサもキンエノコロと混生していました。エノコログサの仲間には、ザラツキエノコログサ、コツブキンエノコロ、フシネキンエノコロなどという種類もありますが、エノコログサの仲間はどれも互いによく似ているので、混生しているエノコログサの仲間を厳密に同定するのは、結構な手間と労力がかかりそうです。


マエキヒメシャク
ヒグラシ
ツクツクボウシ

 8月上旬、柿崎屋敷から南三の丸に降る途中でマエキヒメシャクを見つけました。こういう白いガは葉っぱや木の幹にとまってるとひどく目立つので、生存には不利なんじゃないかと思いますが、そこはなんとか、生き残る術があるのでしょうね。
 8月に入った途端、ツクツクボウシが鳴き始めました。セミは大抵、単調な発声を繰り返すだけですが、ツクツクボウシはリズムを奏でていて、やはり特別感がありますね。まだニイニイゼミの声がかしましいですが、夏の終わりに向けて、ツクツクボウシの声がメインになっていきます。ヒグラシとともに、夏の終わりを感じさせてくれるセミです。

フタテンオエダシャク
ミンミンゼミ

 8月中旬、大手道でフタテンオエダシャクを見つけました。特に珍しい種ではないようですね。南三の丸では、ミンミンゼミが随分やかましく鳴いていました。漫画なんかでは、セミの鳴き声の代表格はミンミンゼミだったりすることが多い気がしますが、西日本では平地に生息していないので、西日本の人にとってはあまり馴染みがなく、むしろクマゼミの暑苦しい「シャワシャワシャワ」の方が代表格だったりします。ところでクマゼミは新潟県から北には分布していないので、北国の人が夏の西日本に行くと、クマゼミのあまりのうるささに驚かれるかもしれません。


参考資料

  1. 各種図鑑
  2. 一般社団法人 和ハーブ協会ホームページ「イー薬草・ドット・コム」
    http://www.e-yakusou.com
  3. 野山の花たち -東北と関東甲信越の花「(雑)イヌヌマトラノオ」
    https://hanatachi.sakura.ne.jp/pl1a/sakurasou/sub5/inunumatoranoo_b.html
  4. 公益社団法人 日本薬学会ホームページ(https://www.pharm.or.jp)

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