6月上旬、愛宕谷公園から愛宕谷池、春日山神社を経由して春日山城本丸に至り、更に南三の丸と権現堂を往復して大手道を行くコース、および滝寺のミズバショウ群生地、滝寺不動、滝寺毘沙門堂の周辺を歩きました。
6月中旬、愛宕谷公園から春日山城本丸を経て、権現堂〜岩木に至るコース、南三の丸〜大手道を歩くコース、柿崎屋敷阯〜城ヶ峰砦の桑取道のコースなどを歩きました。
(令和7年6月20日更新)
以下の花々や動物が観察できました。
ハルジオン ヒメジョオン ケキツネノボタン ハナニガナ エゴノキ カキドオシ ヘビイチゴ イヌガラシ ノアザミ ニガナ トウバナ キオン? ドクダミ キランソウ ガクアジサイ カタバミ ウツギ クサイチゴ ニワトコ オオバコ ダイコンソウ シロツメクサ
コタネツケバナ オニタビラコ コウゾリナ ヤマツツジ ササユリ コナスビ ハハコグサ ジシバリ ギンリョウソウ ツルアリドオシ コシジシモツケソウ ウツボグサ ツルマンネングサ オオカメノキ クルマユリ ウマノミツバ ホタルブクロ オカトラノオ
ハルゼミ モンキアゲハ ヒメハナバチの一種 チャイロオオイシアブ
コメツキムシの一種 ベニボタル ルリシジミ ヘイケボタル
バラシロエダシャク オオシラホシアツバ ムネアカオオアリ クマバチ
モリアオガエル ヒガシニホンアマガエル
ニホントカゲ カナヘビ
ウグイス ヤブサメ ホオジロ ヒヨドリ トビ サンショウクイ ホトトギス キビタキ クロツグミ ヤマガラ メジロ エナガ コゲラ ハシブトガラス ハシボソガラス オオルリ サンコウチョウセンダイムシクイ アカショウビン シジュウカラ アオゲラ イカル ツツドリ アオバト カルガモ












上旬は、愛宕谷公園でヒメジョオンが一気に咲き始めました。ハルジオンの花はもう終わりつつありますが、ヒメジョオンとハルジオンの花はよく似ていて、ぱっと見、区別できません。しかし、葉のつき方を見ると、ハルジオンは葉が茎を抱くようについていますが、ヒメジョオンはそうなっていませんので、そこで両種を識別することができます。愛宕谷池公園では、ケキツネノボタンも咲いていました。
春日山の千貫門の近くでは、カタバミ、キランソウ、ドクダミ、ガクアジサイと、キオンによく似た?花が咲いていました。ドクダミは、言わずと知れた、薬草の代表格ですね。現代農業WEBのサイトで、茎葉を乾燥させ、お茶にして飲めば胃腸病、食あたり、下痢、便秘、利尿、高血圧などに効き、皮膚に塗れば腫れ物、吹き出物、皮膚病などの排膿や毒下しに効果があると紹介され、他の利用法についても詳細に書かれています。キオンによく似た?花、というのは、どう見てもキオンなのですが、どの資料を調べても、キオンは夏の花とあり、この時期にキオンが咲いているはずがないのです。生物種の同定は、なかなかに難しいですね。
上杉景勝屋敷阯では、クサイチゴとニワトコが実をつけ、ウツギが花を咲かせていました。ヘビイチゴの実は不味くて食べられたものではないですが、クサイチゴの実を一つだけ摘んで食べてみると、ほんのり甘酸っぱくて美味しかったです。ニワトコは、魔法使いの杖で有名らしいですが、日本薬学会のサイトでは、茎はセッコツボク(接骨木)、葉はセッコツボクヨウ(接骨木葉)、花はセッコツボクカ(接骨木花)と呼ばれる生薬になると紹介されています。茎と葉は7~8月に、花は開花直前に採取し、セッコツボクは粉末にしてオウバクと混ぜ、水を加えて練った物が打撲傷やうち身の治療に用いられ、セッコツボクヨウとセッコツボクカは煎じて利尿に用いられるそうです。実は生食すると有毒ですが、果実酒の材料になるようですね。
南三の丸は平地でも見られる植物が多いのですが、オオバコが道の真ん中で花を咲かせています。オオバコは頑丈にできていて、道の真ん中で人に踏まれても平気なのだそうです。日本薬学会や現代農業WEBのサイトで、オオバコの開花期の全草はシャゼンソウ(車前草)、種子はシャゼンシ(車前子)と呼ばれ、共に利尿薬や去たん薬として、シャゼンシは更に視力回復や眼病にも効くと紹介されています。
滝寺のミズバショウ群生地の近くでシロバナハナニガナが咲いていました。シロバナハナニガナは、花が白いだけで、黄色いハナニガナと同種です。ただ、これまで黄色いものしか見られなかったところに白いものがあると、大変目立つものですね。










中旬は、梅雨入りしたにも拘らず、気温の高い晴れの日が多くて、いっぱい汗をかきながら山を登っています。草花が随分成長してきたせいでしょうか、本丸周辺の千貫門や景勝屋敷阯などでは草刈り機がかけられ、だいぶんさっぱりしてしまっています。それでも、本丸周辺ではホタルブクロやコシジシモツケソウが咲いていて、目を楽しませてくれています。景勝屋敷阯ではオカトラノオを見つけました。オカトラノオはよく群生するようですが、景勝屋敷阯がきれいに草刈りされていたせいでしょうか、見たのは一株だけでした。
柿崎屋敷阯から南三の丸の間の木々が生い茂る薄暗い道では、ウマノミツバが白い小さな花を咲かせていました。同じセリ科のミツバは食べられますが、ウマノミツバは食用にならず、馬にでも食わせておけといった意味で、そう呼ばれているようですね。食用といえば、赤い実をつけたオオカメノキを見つけました。オオカメノキの実は秋には黒くなり、鳥が好んで食べますし、果実酒を赤く色付けするのに用いることもできるそうです。
南三の丸から権現堂までの道の途中や桑取道で、ギンリョウソウとツルアリドオシを見つけました。どちらも落ち葉が積もった薄暗い林床に生えているので、見逃しやすいです。権現堂を越えて岩木三叉路に至る道の途中では、クルマユリが一輪だけ咲いているのを見つけました。図鑑には、クルマユリは高山帯や亜高山帯の草原に生えると書かれていますが、春日山のような低山の林床でも生えることはあるんですね。
大手池周辺では、ツルマンネングサとウツボグサが咲いていました。日本薬学会のサイトでは、花が終わって褐色になりかけたウツボグサの花穂を日当たりのよいところで速やかに乾燥させたものはカゴソウ(夏枯草)と呼ばれ、煎じて口内炎や扁桃炎の改善、腎炎や膀胱炎に対する利尿薬として利用されると紹介されています。




上旬、愛宕谷公園でもハナバチの活動が盛んです。ヒメハナバチの一種も、ケキツネノボタンにやってきて、体中花粉まみれになっていました。
春日山では、いきなり目の前の地面にチャイロオオイシアブがとまって、何かと思えばコメツキムシの一種(クロツヤハダコメツキ?)を捕食していました。自然の掟とはいえ、コメツキムシがなんだか憐れな感じですね。上杉景勝屋敷阯では、ベニボタルを見つけました。なるほど、名前の通りホタルによく似ていますが、発光器は持っていないそうです。
滝寺の毘沙門堂の近くでルリシジミが飛んでいました。ルリシジミはありふれてはいますが、翅の表側は見事な瑠璃色で、目の前を飛んでいるとハッとさせられるシジミチョウです。





中旬、春日山の亀割清水のすぐそばでヘイケボタルを見つけました。ホタルは暗くなってから活動するイメージがありますが、実際には昼間も葉陰を歩き回っています。日没時、亀割清水に行くと、光りながら舞い飛ぶホタルを観察できるかもしれません。
ガの多くも夜に活動していますが、薄暗い森の中では、昼間でも飛んでいるのを見かけます。バラシロエダシャクとオオシラホシアツバも春日山の薄暗い森の中でヒラヒラ飛んでいました。とかくガは気持ち悪がられ、嫌われがちですが、まじまじ観察すると、意外にきれいだったり、面白い模様をしていたり、結構興味深い生き物です。
ホソヒラタアブは花蜜や花粉を食べるハナアブの一種で、ハチのように見えますが、人を刺したりすることはありません。ムネアカオオアリも、大きいし、赤いボディーが何だか危険な雰囲気を漂わせていますが、毒を持っているわけでもなく、特段人体に害はありません。どちらもわりとどこででも見つけることができる昆虫です。
サンコウチョウは夏鳥です。オスは、森で生活するにはいかにも邪魔になりそうな長い尾を持っていて、「ツキヒホシ、ホイホイホイ」と囀ります。「ツキヒホシ」は月・日・星だから、三つの光の鳥、ということで、「三光鳥」と名付けられたとのこと。春日山でもいろいろなポイントで森の奥から囀りが聞こえてきますが、姿はなかなか見られません。平成13年版レッドデータブックにいがたで、サンコウチョウは準絶滅危惧種に指定されています。
アオバトは森林に棲む緑色の鳩で、「オアーオ、アーオ、アオアオ」といった感じの、なんかちょっと人を小馬鹿にしたような調子で鳴きます。しかも、妙に耳に残るので、一度声を聞いたら名前と合わせて絶対忘れられません。音声は、中旬に南三の丸で録音したものです。
参考資料
- 現代農業WEBホームページ「植物はあれもこれも薬草です」(https://gn.nbkbooks.com/?cat=653)
- 公益社団法人 日本薬学会ホームページ(https://www.pharm.or.jp)
- 新潟県ホームページ「レッドデータブックにいがた」
(https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/1214240790991.html)