5月上旬、大手道から春日山に入り、南三の丸経由で権現堂を通過し、岩木三叉路から下正善寺に下りました。
5月中旬、愛宕谷公園から春日山神社、三の丸、二の丸、本丸、柿崎屋敷、南三の丸、権現堂、岩木三叉路、大手池のルートを歩きました。
5月下旬、岩殿山明清院周辺と春日山の大手道と権現堂の間を歩きました。
(5月30日更新)
以下の花々や動物が観察できました。
ヒメオドリコソウ ハルジオン タチイヌノフグリ シャガ ガマズミ
ムラサキケマン タネツケバナ タチツボスミレ ツボスミレ スミレ
ヒロハテンナンショウ ヤブニンジン サワハコベ チゴユリ フジ
ムラサキサギゴケ コハコベ ウワミズサクラ タニギキョウ キリ
タニウツギ オオカメノキ カキドオシ ミドリハコベ ミヤマハコベ
ノミノフスマ ヒメヘビイチゴ オオハナウド スミレ ハナニガナ
コウゾリナ オオジシバリ オニタビラコ クサイチゴ エゾタンポポ
ヤマツツジ ウゴツクバネウツギ トウバナ ノアザミ シロツメクサ
イヌガラシ ウマノアシガタ オオイヌノフグリ ダイコンソウ
コタネツケバナ ハハコグサ コナスビ ヘビイチゴ エゴノキ
ヤハズエンドウ ササユリ
ベニシジミ ミスジチョウ アゲハチョウ マルハナバチ
ウスバシロチョウ チャバネツヤハムシ シナノクロフカミキリ
ヒシバッタ ハルゼミ ヒメウラナミジャノメ ニホンカワトンボ
クロヒカゲ キンモンガ アトボシエダシャク シオヤトンボ
フキバッタの一種(幼虫) トビケラの一種 モンキアゲハ
オタマジャクシ ウシガエル モリアオガエル タゴガエル
ニホンカナヘビ
ヒヨドリ ウグイス ハシボソガラス エナガ アカハラ キビタキ
クロツグミ アオゲラ ヤマガラ ヤブサメ ツツドリ オオルリ
サンショウクイ センダイムシクイ カルガモ ホオジロ アオバト
カッコウ ホトトギス コゲラ カワセミ カイツブリ キジバト
イカル サンコウチョウ シジュウカラ メジロ メボソムシクイ
アカショウビン モズ
ニホンリス タヌキ ニホンカモシカ









初旬、大手道入口の農地でハルジオンが元気に咲いていました。フジが紫色の花を咲かせて林縁も賑やかになっています。大手道のそこここでシャガの群生も随分目立ってきました。
ヒロハテンナンショウやヤブニンジンも大手道で目立たないながらも花を咲かせています。また、4月には気づきませんでしたが、南三の丸の周辺でサワハコベが群生しているのを見つけました。
一方で、南三ノ丸のウワミズザクラはどうやら盛りを少し過ぎた感じで、オオイワカガミの花もすっかり終わっていました。
オオイヌノフグリはだいぶん少なくなりましたが、下正善寺では、代わりに、まだしぶとく咲いているヒメオドリコソウに混じって、オオイヌノフグリより草丈の高い、それでいてオオイヌノフグリに似たすごく小さい花をつけた草がたくさん生えていました。タチイヌノフグリですね。綺麗なんですが、小さ過ぎて目立たない花です。
タニウツギの花が春日山のところどころで咲いていました。花の形だけ見てツツジの仲間かと思ってしまいましたが、タニウツギはツツジとは全く別の植物ですね。枝に紅色の花が鈴なりに咲いていて、すごく目立ちます。












中旬、春日山城本丸の周辺では、キク科の野草で一気に黄色味が増してきました。花の形だけだとどれも似たり寄ったりで、種を同定するのに苦労しますが、花の大きさ、葉の形、花の付き方、葉の付き方などをよく観察すると、それぞれ随分違うものです。
ノアザミもキク科の植物ですが、こちらの花色は鮮烈な赤紫色で、愛宕谷池のダム堤に咲いていました。アザミらしい、実にトゲトゲした葉を持っており、花言葉の「触れないで」もさもありなんといった感じです。にも拘らず、アザミは山菜や生薬として利用されます。 現代農業WEBのサイトでは、アザミの根を乾燥させたものをケイ(薊)と呼び、健胃、利尿、解毒作用の他、不眠症、神経痛、皮膚の炎症などに用いられると紹介しています。
愛宕谷池周辺では、オオハナウド、トウバナ、イヌガラシ、シロツメクサなども咲いていて、そこから虎御前墓所周辺まで足を伸ばすと、ウマノアシガタが群生していました。木立の間では、キリやヤマツツジが花をつけていました。









下旬、海に近い岩殿山明静院の駐車場奥の沢のそばにダイコンソウとコタネツケバナが咲いていました。さらに明静院のそばで、ハハコグサ、コナスビ、ヘビイチゴを見つけました。日本薬学会のサイトによれば、ダイコンソウは全草に強壮、発汗、利尿の作用があり、腎臓障害による浮腫、糖尿病、夜尿症などに用いられるそうです。また、湿疹などの皮膚病、腫れ物にも効果があり、黒焼きにして小麦粉で練ったものは打撲に効くそうです。ハハコグサも、開花期に全草を天日でよく乾燥させたものをソキクソウ(鼠麹草)と呼び、その煎じ液は鎮咳、去痰、扁桃炎、喉の腫れに有効で、他に利尿作用があるため急性腎炎に伴うむくみの軽減に効果があると言われていると紹介しています。
春日山では、大手道でエゴノキに白い花がたくさんつき、足元にはヤハズエンドウが咲いていました。「ヤハズエンドウ」は正式和名なのですが、「カラスノエンドウ」という別称の方が世間では通りが良いようですね。権現堂から岩木方面の道には、ササユリがポツポツと咲いていました。ササユリは、新潟県版レッドデータブックに絶滅危惧Ⅱ類として掲載されています。春日山のササユリは一時乱獲で激減したものの、地元有志による植栽活動の甲斐あって、現在では再び来訪者の目を楽しませるようになっているようです。
権現堂の周辺にマメ科植物のピンクの花がたくさん咲いていました。植物検索アプリで調べると、東南アジア原産の「タイワンコマツナギ」という結果が出ましたが、全然間違いです。いろいろ調べてみましたが、今のところ同定できないままです。







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5月ともなると、活動する昆虫が増えてきました。大手道入口の農地ではベニシジミ、大手道ではミスジチョウ、権現堂ではアゲハチョウとマルハナバチが飛んでいました。三の丸付近の草地では、ウスバシロチョウがふわりふわりとたくさん飛んでいました。春日山の至る所に生えているムラサキケマンがウスバシロチョウの幼虫の食草なので、たくさんいるのも道理です。
愛宕谷公園では、ヒメウラナミジャノメとニホンカワトンボ(推定)が飛んでいました。ニホンカワトンボを「推定」としているのは、その近縁種にアサヒナカワトンボというのがおり、両種を見分けるのがとても難しいからです。ネットには両種の識別法を解説しているサイトがいくつもありますが、結局のところ、捕まえて詳しく観察しない限り、見分けるのは至難の業です。それでも、写真から判断する限り、この個体はニホンカワトンボ寄りと思われました。
愛宕谷池のダム堤にはチャバネツヤハムシ、シナノクロフカミキリ、ヒシバッタがいました。ヒシバッタも個体ごとの模様の変異が大きすぎて、同定がとても難しいのですが、恐らくハラヒシバッタではないかと思われます。
岩殿山明静院のそばではクロヒカゲを見つけました。普段はヒカゲを好む種だそうですが、明るい日差しの下をずっと飛んでいました。
明静院の駐車場の奥には小さな沢が流れているのですが、沢水の中の石を裏返してみると、いろいろな水生昆虫がいます。水生昆虫の同定はその道の研究者でもなければ至難の業なので、あえて挑戦はしません。その沢の脇に生えていた植物の葉に、絵描き虫の食痕が残されていました。絵描き虫というのは、ハモグリバエやハモグリガなどの幼虫のことで、葉の内側に潜り込んで葉肉を食べ進んだ痕を残します。園芸の分野では害虫として嫌われていますが、野生の植物にも時々こうした痕を見つけることができます。
春日山では、キンモンガ、アトボシエダシャク、シオヤトンボを見つけました。キンモンガは蛾に分類されますが、見た目は蝶のようで、昼間に活動し、花の蜜を吸うそうです。フキバッタの一種とトビケラの一種も見つけましたが、それ以上の同定はできませんでした。
中旬、愛宕谷池のダム堤のそばでハルゼミが鳴いていました。休んでは鳴き、休んでは鳴き、という感じで、夏のセミのような騒々しさはありませんでした。ハルゼミは平成13年版レッドデータブックにいがたに準絶滅危惧種と記載されています。


大手道入口の農地の水溜りではオタマジャクシがたくさん泳いでいます。足はまだ生えてきていないようですね。なんの種類のカエルになるのかは、まだ分かりません。
岩殿山明静院の近くを流れる沢で、タゴガエルを見つけました。声はすれども姿が見えず、というカエルなので、姿を写真に収められたのはラッキーでした。

エナガは個体数が多く、わりと近くまで来てくれるのですが、何しろ枝から枝へ、忙しなく動き回るため、写真を撮るのは容易ではありません。
愛宕谷公園のそばで囀っていたホオジロです。背景が空だと、どうしても露出がアンダーになってしまいます。しかも撮影位置が悪く、背中しか見えません。
春日山の森の中でヤマガラがよく囀っています。ただ、忙しなく動き回るため、姿を捉えるのには苦労します。
ウグイスは、繁殖期に「ホーホケキョ」の他に谷渡りと呼ばれる長く続く鳴き声を出します。この谷渡りは、捕食者の存在を仲間のウグイスに知らせる「警報」と長く信じられてきましたが、国立科学博物館の濱尾章二博士は、令和6年10月に、谷渡りは本当はメスに対するオスのアピールではないかとの仮説を提唱しました。そう言われれば、警報というには無駄に長いですし、警報であるなら、もっと短くて、不安を煽る調子の声の方が理にかなっていますよね。
クロツグミは中国南部からやってくる夏鳥です。とてもよく響く美しい声で鳴きます。
ホトトギスも南から渡ってきて、遠くまでよく通る声で鳴いています。「特許許可局」とは上手く聴きなしたものだとつくづく感心します。
イカルはもよく通る声で鳴いてその存在を教えてくれます。「お菊二十四』と聴きなしされることが多いのですが、お菊さんの心情やいかに。
アカショウビンの声は、岩殿山明静院そばの沢のずっと上流から、沢音とヤブサメの声とキビタキの声に紛れて小さく「きょろろろろ」と口笛のような音で聞こえてきました。姿を見るのはなかなか難しい鳥です。
大手道の途中にある亀割清水の脇の杉の木に、ニホンリスがいました。まだ耳にふさ毛が残っていて、可愛いですね。
日本の一部地域では特定外来生物に指定されたタイワンリス(クリハラリスの亜種)が定着しており、生態系が撹乱されるという、困った状況になっていますが、新潟県に侵入したという情報はないようです。
参考資料
- 各種図鑑
- 現代農業WEBホームページ「植物はあれもこれも薬草です」(https://gn.nbkbooks.com/?cat=653)
- 公益社団法人 日本薬学会ホームページ(https://www.pharm.or.jp)
- 新潟県ホームページ「レッドデータブックにいがた」
(https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/1214240790991.html) - 上越タウンジャーナル 2010年4月18日記事「春日山をササユリの里に」
(https://www.joetsutj.com/articles/51713757) - 独立行政法人 国立科学博物館ホームページ「プレスリリース」2024年度分
(https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/index.php?year=2024)
pdf「ウグイスの谷渡り鳴きの新仮説 ~谷渡り鳴きは警報ではなく雌へのアピールである~」 - 国立研究開発法人 国立環境研究所ホームページ 侵入生物データベース
「クリハラリス」(https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/10060.html)