令和8年7月

 7月上旬、春日山の大手道から岩木三叉路、権現堂、南三の丸を経由し、大手道を降るルートを歩きました。
 以下の生き物を観察しました。

シロツメクサ  イヌガラシ  オオバコ  オオイヌノフグリ  ヒメジョオン  
カタバミ  ニガナ  ドクダミ  ノボリリュウタケ科のキノコ  ノアザミ  
キツネノカミソリ  ケキツネノボタン  キツネノボタン  オオジシバリ  
ツブイボタケ  リョウブ  ヤブコウジ  ダイコンソウ  ミツバ  

シオカラトンボ  モンシロチョウ  ハキリバチ  クサカゲロウの幼虫  
アブラゼミ  キマワリ  センチコガネ  ウスバミスジエダシャク  
オオシオカラトンボ  オオオバボタル  ヒメカメノコテントウ

ヒガシニホンアマガエル

ウグイス  ヒヨドリ  ヤマガラ  キビタキ  ゴジュウカラ  アオゲラ  
コゲラ  メジロ  ホトトギス  サンコウチョウ  ヤブサメ  ホオジロ  
カワラヒワ  ハシボソガラス  フクロウ

ホンドタヌキ


 7月上旬、大手道で奇妙なキノコを見つけました。

どうやらノボリリュウタケ科のキノコの一種のようです。傘のある、キノコらしいキノコとは違い、表面に胞子が入った子嚢を作るというのですが、茶色い部分の表面のぶつぶつした感じなのが、子嚢でしょうか。名前も奇妙ですが、一部の種類は食べることができるようです。

ノボリリュウタケ科の一種

 もう少し進んだところで、木の葉の断片を抱えた蜂が地面の穴に入っていくところを見つけました。

ハキリバチ科の一種

毛深くてずんぐりむっくりしているところはミツバチにそっくりですが、ミツバチではありません。大きくはハナバチと呼ばれる一群に含まれるハキリバチ科の一種ですが、また種類が多いので、同定は困難です。単独で生活し、木の葉の断片を使って子どもを育てる部屋を作るという、独特な習性を持っていて、

動画のように、葉の断片を穴に運び込んで
しばらく作業してから、また出ていき、
1、2分程度で葉っぱを抱えて戻ってくる
のを何度も何度も繰り返していました。
蜂は働き者です。

 もう少し進むと、キツネノカミソリの花が鮮やかに咲いていました。綺麗で目立つ花ですが、ヒガンバナに近い植物で、ヒガンバナと同じく毒草なので、見て楽しむだけにしておいた方が良いでしょう。

キツネノカミソリ

 そういえば、キツネノボタンも毒草で、ミツバと間違って食べて、中毒を起こすという事故が時々ありますが、「キツネ〜」と名のつく植物には要注意ですね。
 キツネノカミソリを横目に見ながらさらに数歩進むと、草に綿くずがついていました。

クサカゲロウの幼虫

おやおや、これは、と思ってよく見ると、足が生えています。そして歩いています。綿くずそっくりな虫というと、ワタムシとかアオバハゴロモの幼虫とかがいるようですが、果たしてこれはなんでしょう。歩き回るし小さいしで、カメラで追っかけてもなかなかピントが合いません。

クサカゲロウの一種

なんとか虫と判別できる程度までピントを合わせると、何やらアリジゴクみたいな大アゴを持った虫が、背中に綿のようなゴミクズを背負っていました。

クサカゲロウの一種

もうちょっと顔がわかるように頑張ってピントを合わせると、歌舞伎の隈取りのような模様がありますね。種類までは同定できませんが、クサカゲロウの一種の幼虫であろうことまでは分かりました。この個体は綿クズを背負っていますが、この仲間はいろんなゴミを背負っていて、なんだか丸いゴミクズが動いていると思ったら、それはクサカゲロウの幼虫かもしれません。カモフラージュのつもりなのでしょうが、身を隠せているのでしょうか。

 さっきのノボリリュウタケ科のキノコからここまでほんの数十メートルしか歩いていないのに、これだけいろいろな生き物に出会えるのですから、やっぱり春日山は侮れませんね。
 さて、大手道から岩木三叉路に向かう山道に入って登っていくと、地面にバラのような形をしたキノコが点々と生えていました。

ツブイボタケというキノコのようです。日本では食用されませんが、中国では食べられているようなので、毒キノコではなさそうです。興味深いことに、東京農工大の研究者によれば、ツブイボタケには抗炎症作用を持つ成分(Vialinin A)が含まれ、抗アレルギー活性を示すことが見出されたのだそうです(2)。こんなふうに普通に生えているキノコにも、秘められた力があるものなんですね。

ツブイボタケ

 権現堂のそばでは、リョウブの花が咲いていました。

乾燥した尾根筋などに自生する落葉小高木ですが、花は美しいし、若葉は茹でて天日干しすると、救荒食糧として保存がきき、平安時代には重宝されたそうです。救荒食糧というくらいですから、日常の食糧というわけではなく、とりたてて美味しいというのでもないのかもしれませんが、飢饉の時にはありがたかったでしょうね。

リョウブ
ウスバミスジエダシャク

 こちらはべつに美しくもない、ウスバミスジエダシャクというありふれたガですが、これはこれで形状だとか、模様だとか、ガにはガなりの魅力があるものだと思っています。もちろん、暗がりで顔に纏わりつかれるのはさすがに嫌ですが。

キマワリ

 これも権現堂の尾根筋で何匹も出会ったキマワリという甲虫です。なんか足が異様に長くて気持ち悪いです。どうして足の長い虫って、何気に嫌悪感を誘うのでしょうか。でも、べつに人間にとって有害な虫ではないのです。速足でせかせか歩き回りながら普通に森の中で暮らしているのです。

フクロウの雨覆

 これは権現堂の尾根筋で拾った鳥の羽ですが、文一総合出版が発行している「原寸大写真図鑑 羽」という、その筋のマニアしか買わない図鑑で検索すると、フクロウの雨覆(あまおおい)の羽によく似ています。どうやらフクロウが生息しているようです。鳥の生息調査では、落ちている羽も有用な情報なのです。

 梅雨明けはまだですが、7月ともなると暑くてかないません。歩くのにもそろそろうんざりしながら、ようやく大手道入り口の駐車場まで戻ってきたところで、小さなテントウムシを見つけました。

ヒメカメノコテントウ

テントウムシというのは翅の模様の個体差が極端で、種の同定に大変困ることもよくあるのですが、この個体は幸い典型的なパターンの模様をしていて、同定に苦労はしませんでした。ヒメカメノコテントウは模様の他に、名前のとおり体が随分小さいことも同定のポイントです。せいぜい5 mm程度だったでしょうか。


参考資料

  1. 各種図鑑
  2. 「食品中の成分でアレルギーを予防」https://www.nodai.ac.jp/research/teacher-column/0298/

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