令和8年10月

 上旬は、愛宕谷公園から御屋敷阯、春日山神社、直江屋敷、本丸、南三の丸、権現堂、岩木三叉路を経由して大手道に降りる経路を歩きました。
 以下の動植物を観察しました。

ツユクサ  カタバミ  アキノノゲシ  ヒメジョオン  セイヨウタンポポ  
イヌタデ  ヒメジソ  オオハシカグサ  ミゾソバ  コアカミゴケ  シシウド  
モリアザミ  ツリフネソウ  ナギナタタケ  オオバコ  ミズヒキ  チヂミザサ  
ハナタデ  ゲンノショウコ  ニガナ  ヤマハッカ  ブタナ  センニンソウ  
チカラシバ  キンエノコロ  ヤクシソウ  キバナアキギリ  トキワハゼ  
オトコエシ  オクトリカブト  エノコログサ  ヒヨドリバナ  ツルボ  
イヌガラシ  セイタカアワダチソウ  シラヤマギク  クルマバハグマ  
ヤナギタデ or ボントクタデ  オオアレチノギク  イヌコウジュ  エノキグサ  
ムラサキエノコロ  

アキアカネ  ニホンミツバチ  ツマグロオオヨコバイ  オオアオイトトンボ  
マルトビムシの一種  キチョウ  ミカドトックリバチ  ホソヒラタアブ  
クルマバッタモドキ キンケハラナガツチバチ  ヤマトシジミ  オオハナアブ  
シロオビノメイガ  ハラビロカマキリ  ツクツクボウシ

ヤマナメクジ

ヒガシニホンアマガエル ヤマアカガエル

カナヘビ

ヒヨドリ  カケス  アオゲラ  ハシブトガラス  メジロ  ハシボソガラス  
エナガ  コゲラ  ヤマガラ


 上旬、ずいぶん涼しくなって、汗をかきかき歩くこともなくなりました。森の中は、シイ、カシ、ナラのようなブナ科の樹木の堅果、いわゆるどんぐりがたくさん落ちています。去年は大変な不作でしたが、今年は豊作になっている印象です。9月28日に更新された新潟県における堅果類の豊凶状況調査結果(2)でも、新潟県全体では豊作ないし並作と評価されています。但し、上越地域のミズナラとオニグルミは不作と評価されており、地域によって差がありますし、全国で見れば、都道府県ごとに作況が異なりますから、例えばこれでクマとの遭遇リスクが下がると単純に喜べるわけではありません。また、豊作なら豊作で、クマの繁殖が進んで個体数が増える要因になり、それだけで、また不作の年が来た時に遭遇リスクが上がるわけですから、どんぐりがたくさん落ちているのを見ると、少し複雑な気分になります。もっとも、近年のクマは都市環境に慣れてきていると言われており、山に餌が豊富にあっても、いわゆるアーバンベアには関係ないのかもしれません。

 そんなわけで、植物は徐々に冬に向かって変化を見せていますが、草花はまださまざまな花を咲かせ、昆虫も元気に活動しています。

 ヤマハッカは直江屋敷の近くに咲いていました。ハッカといってもハッカの香りがするわけではありません。同じヤマハッカ属に含まれるヒキオコシという植物は優れた胃腸薬になるようですが、ヤマハッカには何も薬効はないようです。

ヤマハッカ

 写真の植物にはヤナギタデとキャプションをつけていますが、実を言うと、よく似たボントクタデの可能性も残しています。葉の形状はヤナギタデの特徴を示していますが、葉に生えている毛は典型的なヤナギタデよりは多そうだし、何より、ヤナギタデの最大の特徴である、葉の強烈な辛みがありませんでした。といって、実体顕微鏡で観察してもボントクタデらしさもなく、なんだこれ、という感じです。

ヤナギタデ

 多くの資料では、ヤナギタデとボントクタデは辛みの有無によって区別できるとあり、単純に辛みがあればヤナギタデ、なければボントクタデと言っていますが、正直言って、そんな単純なもんなんだろうかと私は疑っています。しつこく何枚も葉っぱを噛み噛みしていると、しばらく口の中がイガイガした感じにはなります。だからといってヤナギタデだと同定できるわけでもありません。種の同定って、どうしてこんなに難しいのでしょうか。
 ちなみに、ボントクタデの「ボントク」とは役立たずという意味のようですが、薬味にも使われるヤナギタデのような辛みがないからそう名付けられたとのこと。ものに名前をつけるのは人間の都合ですから、人間にとって役に立つかそうでないかが名前の由来になるのも分かりますが、そう呼ばれる側にしてみれば、ひどく理不尽な名付け方かもしれません。

 エノキグサは、穂状に咲くひどく小さな雄花と、その穂の根元にあるドーム状の雌花からなる一年草で、どこにでもあるありふれた雑草、というような言い方をされていますが、実際、花が咲いていても、よく気をつけていないと見落とすような目立たない草で、良くも悪くも関心を持たれずほっておかれているような感じですね。

エノキグサ

 オオアレチノギクは、南アメリカ原産の帰化植物で、名前の通り荒地でも旺盛に繁殖していますので、外来生物法で要注意外来生物に指定されています(3)。要注意と言われているような植物をそのまま放置しておくのもモヤモヤしますが、同じく要注意外来生物に指定されているセイタカアワダチソウも放置されていますから、特定外来生物でもない限り、基本は放置なのでしょうね。

オオアレチノギク

 これは花ではありませんが、赤い部分が花のようにも見えます。藻類と共生している菌類の一種で、赤い部分は胞子を作る子器です。切り株や木の根元に生えているのがよく見られます。

コアカミゴケ

 これも菌類、いわゆるキノコの仲間です。木漏れ日に照らされると、黄金色がいっそう美しく見えます。ちょっと想像しにくいですが、食べられるようです。

ナギナタタケ
マルトビムシの一種

 ナギナタタケをよく見てみると、極小の虫がついていました。マルトビムシの一種ですね。トビムシは雑食で、キノコも食べるというので、今まさにナギナタタケにかぶりついているところでしょうか。

ツマグロオオヨコバイ

 これはツマグロオオヨコバイという昆虫で、蛍光イエローっぽい翅色で目立ちます。この色にちなんでバナナムシとも呼ばれていると言いますが、形は別段バナナに似ているわけでもありませんね。植物の汁が餌のようで、農作物の汁も吸うので、害虫扱いされることもあるようです。ただビジュアルはなかなか憎めない感じですね。

クルマバッタモドキ

 これは珍しい、クルマバッタモドキが産卵しているところです。地面に腹部を突き刺しているのが分かるでしょうか。ただ、人間が通る登山道の真ん中でやっていたので、人間がやってくると慌てて飛び去りました。もっといい場所を選べば良いのに、と思いました。ところでこの「モドキ」という名前も、考えたら理不尽ですよね。「本物ではない似たようなもの」、言い換えれば「偽物」ってニュアンスですものね。

ミカドトックリバチ

 ミカドトックリバチはとっくり型の巣を作るのでこの名があります。腹部が細くくびれたフォルムと、黒光りするボディーに鮮やかな黄色い模様という配色が美しいハチです。攻撃性はありませんので、怖くはありません。

キンケハラナガツチバチ

これは触角が長いので、オスですね。メスはコガネムシの幼虫を探し当てて卵を産みつけ、それを自身の幼虫の餌にします。獲物に直接卵を産みつけるので、トックリバチのように巣を作ってガの幼虫を運び込むより効率が良さそうにも思えますが、地中の獲物を探す労力もそれなりに大変そうではあります。

オオハナアブ

 これは一見するとハナバチのように見えますが、ハナアブです。南三の丸のセイタカアワダチソウにたくさん集まっていました。ちょっと分かりにくいですが、複眼に変な模様があるのが特徴です。ハナアブは人を刺したりしませんので、危険はありません。花から花へ忙しそうに飛び回っている姿は実に平和なものです。

シロオビノメイガ

 シロオビノメイガは日光の下で活発に活動するガです。セイタカアワダチソウの花に蜜を吸いにやってきている姿にガの持つネガティブな印象はないのですが、幼虫は農作物の葉を旺盛に食い荒らすとかで、農家にとってはにっくき害虫のようです。

 それにしても、今回初めて気づきましたが、南三の丸のセイタカアワダチソウに花蜜を吸う様々な昆虫が集まってきていて、大変な賑わいようでした。なんでこんなにセイタカアワダチソウが人気なんだろうと思っていたら、それもそのはず、北米原産のセイタカアワダチソウは蜜源植物(ミツバチなどが花の蜜や花粉を集めるために利用する植物)としての価値を期待されて日本国内で広まった背景があるそうで、それだけ昆虫にとって魅力的だということなんですね。ただ、肝心の蜂蜜には特有の臭みがあるとかで人気がない上に、今や外来生物法で要注意外来生物に指定されています(3)から、人間には良い印象を持たれていません。とはいえ、やはり昆虫にとっては格別な花であるには違いなく、

ハラビロカマキリ

なんとハラビロカマキリの姿もありました。昆虫がたくさん集まるということは、当然捕食者にとっても格好の狩場になるわけですから、カマキリも眼光鋭く射程内に獲物が近づいてくるのを待ち構えていました。弱肉強食ですねぇ。


参考資料

  1. 各種図鑑
  2. 令和8年度堅果類の豊凶状況調査結果(確報)
    (https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/1319666477310.html)
  3. 国立研究開発法人 国立環境研究所「侵入生物データベース」(https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/category.html)

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