令和8年9月

 9月上旬は、大手道から岩木三叉路、権現堂、南三の丸を経由して、大手道を下る経路を歩きました。
 中旬は愛宕谷公園と御屋敷阯周辺と、大手道を亀割清水まで歩き、そこから権現堂まで行って戻り、本丸に登って直江屋敷経由で春日山神社、御屋敷阯、神社駐車場へ下りる経路を歩きました。
 以下の生き物を観察しました。

ツユクサ  カタバミ  イヌガラシ  センニンソウ  ヒメジョオン  クズ  
キンミズヒキ  イヌタデ  コバギボウシ  ブタナ  ツルマメ  サワヒヨドリ  
ヤハズソウ  ヤマハギ  チヂミザサ  クルマバハグマ  シラヤマギク  
ミズヒキ  ゲンノショウコ  シシウド  アカソ  トウバナ  モリアザミ  
オオハシカグサ  キンエノコロ  ヌマトラノオ  カラスビシャク  エノコログサ  アメリカタカサブロウ  ガマ  ミゾカクシ  ニガナ  ツリフネソウ  
ヌスビトハギ  アキノノゲシ  オオバコ  イボクサ  キツネノボタン  
シロオニタケ  ツルボ


ツクツクボウシ  ミンミンゼミ  シオカラトンボ  ハネナガイナゴ  
シロコブゾウムシ  キンモンガ  キンバエ族の一種  オオヒゲハリバエ属の一種  
ウスオエダシャク  オオチャバネセセリ  イオウイロハシリグモの幼体  
オオシロカネグモ  ニワハンミョウ  エントツドロバチ  キマワリ  オニヤンマ  
ウスバカミキリ  センチコガネ  モンキアゲハ  ゴマダラカミキリ  
アカエゾゼミ  ホソヒラタアブ  ヤマトシリアゲ  アナアキゾウムシの一種  
オオシオカラトンボ  ナミアゲハ  ホシホウジャク  ヒゲブトコバエ  
ミドリヒョウモン  オンブバッタ  エンマコオロギ  ノシメトンボ  コカマキリ  
ヤマトシジミ  キアゲハ  

ヤマナメクジ

ヤマアカガエル

カナヘビ  ニホントカゲ

ヒヨドリ  メジロ  トビ  キジバト  ヤマガラ

ニホンジカ


 ここのところ、全国的に豪雨災害が頻発しています。新潟県は今のところ大きな被害に遭っていませんが、夏の間にすっかり干上がっていた権現堂下の池にはまた水が溜まり、いっとき姿を消していたアメリカザリガニがまた増えていました。春にクロサンショウウオやモリアオガエルが繁殖している池ですから、アメリカザリガニの侵入は困ったことだなと思っています。
 さて、上旬は大手道と権現堂のあたりを歩き、いろいろな昆虫に出会いました。

シロコブゾウムシ

 これはシロコブゾウムシですね。なかなかユーモラスな形ですし、目が何だか可愛い虫です。ぐいぐい近づいていくと、唐突に葉から落ちて見えなくなりました。すぐに死んだふりをすることでもよく知られているようです。

アナアキゾウムシの一種

 また別のゾウムシの仲間も見つけました。ゾウムシという名前の由来である口吻の形は、こちらの方がいかにもそれらしいですね。この仲間は樹木に穴を開けてしまうので、害虫と見られることもあるようです。

キンバエ属の一種

 キンバエというのは、動物の死体や排泄物にたかるので、どうにも不快というか、人家に入ってくれば衛生害虫として、Gとともにトラップや殺虫スプレーで命を狙われる、ちょっと哀れな存在ですが、写真のハエは森に暮らすタイプなのでしょうか。このまま森の中で平和に暮らして欲しいものです。

ホオヒゲハリバエ属の一種

 上のキンバエ属のハエのそばに、これまた別の小さなハエがいましたが、こちらはホオヒゲハリバエ属の一種。動物の死体や排泄物にたかるのではなく、他の昆虫に卵を産みつける寄生昆虫だそうです。どちらにしてもあまり印象の良いものではないですが、それも自然の摂理ですね。

ウスオエダシャク

 ウスオエダシャクは見た目どおりの地味なガですが、まじまじ見ればわりと綺麗です。ただ翅色は個体差がかなり大きいようで、この個体はかなり色が薄い方みたいですね。それにしても、翅が随分傷んでいます。それでもちゃんと飛べるのだから、大したものです。

オオチャバネセセリ

 セセリチョウの仲間は、色合い的にガのように見えるかもしれませんが、チョウです。オオチャバネセセリはチャバネセセリやイチモンジセセリにそっくりなので、野外で瞬時に同定することは困難ですが、翅の白斑のパターンで区別できます。全国的には、地域によって絶滅が危惧されるほど減少しているようです。

イオウイロハシリグモの幼体

 昆虫ではありませんが、クモも言うなれば、ハエやガと同様に人間に嫌われる部類の生き物ですが、これがなかなかどうして、造形的にはよくできてるなと思いますし、模様も個性的です。写真のクモはイオウイロハシリグモ(硫黄色走蜘蛛)の幼体で、小さくて可愛いのですが、成体になると結構大きいらしく、やっぱり嫌悪感をそそられるタイプですね。いわゆるクモの巣を張らず、徘徊するクモです。

オオシロカネグモ

 もう一つクモいきましょうか。腹部の金属光沢がやたら目立ちますので、獲物を捉えるのに不利ではないかという気がしますが、水辺で水平に張った巣にぶら下がっていて、上からは金属光沢が見えないし、下からは水面に反射した光に照らされた金属光沢が空に溶け込んで、意外に獲物からは目立たないのかもしれませんね。

ニワハンミョウ

 じっとして動かなければ写真のように地面の色に同化していますが、実際にはやたらとせかせか動き回っているので、すごく目立ちます。こうして地面を動き回りながら獲物を探す肉食昆虫です。やたら個体数が多いことにも注目ですね。

エントツドロバチ

 エントツドロバチは泥で巣を作って、ガの幼虫で子育てをする、単独生活の狩りバチです。泥集めの最中でしょうか、地面に降りて歩き回っていました。

ゴマダラカミキリ

 子どもの頃から、カミキリムシといえばこれを思い浮かべるほど馴染みの深いゴマダラカミキリですが、それだけに、害虫だという意識はありませんでした。近年、クビアカツヤカミキリやツヤハダゴマダラカミキリのような外来種が樹木を枯らせる事例が増えていますが、このゴマダラカミキリも、基本的に同じような生態ですから、農業や公園管理の分野では害虫扱いのようですね。

ヤマトシリアゲ

 5月にもたくさん見られたヤマトシリアゲですが、この時期のヤマトシリアゲは体色がべっこう色で、以前はベッコウシリアゲと呼ばれ、ヤマトシリアゲとは別の種類だとされていたようです。確かに春の個体は真っ黒ですから、全然別の種類だと思われても仕方ないですね。

 花をつけている植物もいろいろ観察しました。

 サワヒヨドリはヒヨドリバナによく似た多年草で、湿地や草原に自生しています。地上部を乾燥させたものは解毒、鎮咳、去痰、降圧、女性の生理不順や出産後のむくみの予防に効果があるそうですが、生薬名は「サンラン(山蘭)」(2)、「タクラン(沢蘭)」(3)、「ヤバツイ(野馬追)」(4)など、いろいろな呼び名があるようです。

サワヒヨドリ

 権現堂のすぐそばでは、ヤマハギが花を咲かせていました。万葉の昔から親しまれた落葉広葉樹で、秋の七草の一つです。イー薬草・ドット・コムによれば、花が終わった頃に根茎を刻んで天日で乾燥させたものは婦人病のめまい、のぼせなどに効果があるとのこと(5)。現代農業WEBでも、茎や葉を煎じるハギの薬草茶を紹介しています(6)。

ヤマハギ

 シラヤマギクはわりとありふれた秋の野菊ですが、南三の丸の近くで一株だけ咲いていました。草丈が高く、よく目立ちます。そんなシラヤマギクに、ホソヒラタアブが訪れていました。ホソヒラタアブもありふれたハナアブですが、こんなありふれた生き物同士の営みも、愛おしく感じられます。

シラヤマギク

 イラクサ科カラムシ属のこの多年草は、アオソ(青苧)に対してアカソ(赤麻)という名がついています。アオソはカラムシやチョマ(苧麻)とも呼ばれ、越後上布の原料として上杉謙信が栽培を奨励(7)し、越後国の財政を支えたそうですが、アカソもまた、アオソと同じように茎を繊維に加工し、布を織ることができるそうです。

アカソ

 権現堂から南三の丸に向かって歩いている途中、動物の糞のようなものを見つけました。

ヤマナメクジ

どれどれ、と近付いてみると、それは糞ではなく、ヤマナメクジでした。でかい!グロい!死んでいるのか生きているのか、よく分かりませんが、微動だにしません。山道で時々粘液の跡を見ますが、こいつの通った跡ですね。地衣類やキノコを食べていて、ビジュアルはともかく、いたって無害です。見かけてもいぢめないでください。


 中旬になっても、日本列島は台風やら秋雨前線やらでひどい雨降りが続いています。新潟は全然マシな方ですが、ぐずついた空模様なのは変わりません。そこで雨の日に、ちょっと大手道を歩いてみました。

ホシホウジャク

 大手道の番屋阯の近くに咲いたモリアザミの花で、ホシホウジャクがホバリングしながら吸蜜していました。雨の中でも生き物たちの生きるための営みは変わりません。飛んでいる姿はハチのようですが、れっきとしたガの仲間です。ガの仲間がものすごい速さで羽ばたくことができるというのも俄に信じがたいものですが、収斂進化の見事さを感じさせてくれる昆虫です。

 この後も大手道を進んでみましたが、やっぱり雨降りの中、撮影機材を持ちながら歩くのはしんどいし、やたらと蒸し暑くて不快だったので、亀割清水まで行って引き返しました。動物たちは、こんな雨の日、どんなふうに過ごしているのでしょうか。

 わずかな晴れ間をぬって、愛宕谷公園に行ってみました。浄化槽に問題があったのか、ずっと使用不可になっていた公衆トイレが、浄化槽の改修後にようやく使えるようになっていましたが、愛宕谷公園自体は十分手入れ、管理されているわけではなく、ちょっと草刈りの間が開くと草ぼうぼうのジャングル状態だし、東屋などの施設はひどく傷んだままで、まるで人気がありません。駐車場も外回りの途中で仕事をサボっているような風情の車がいくつか停まっていたりするくらいです。そんなだから、のんびり自然観察するにはもってこいの場所ではあります。

 カラスビシャクが咲いていました。同じサトイモ科のウラシマソウに似て、花序付属体という部分が上に長く伸びているのが特徴です。畑では根絶が難しい害草扱いだそうですが、日本薬学会のサイトでは、地中の球茎という部分を乾燥したものは「ハンゲ(半夏)」と呼ばれる生薬になり、健胃消化,鎮吐,鎮咳去痰に効果があると紹介しています(8)。昔、農家では畑の雑草として取り除く際、球茎を取り溜めて生薬の中買業者に売り、小金を稼いだとかで、そこから「へそくり」という異名もついたとのこと。ただの害草で終わらせないところが、農家の知恵と逞しさですね。

カラスビシャク

 実に分かりやすく帰化植物であることを示している名前ですが、「タカサブロウ」の由来は何なのでしょうね。イー薬草・ドット・コムでは、「ただれを治す草」という意味の「タタラビソウ」に由来するとありますが、ちょっと無理がある気がします。それはさておき、開花期の全草を乾燥させたものは、ただれ目、血尿、血便の止血に効果があるそうです(5)。

アメリカタカサブロウ
ヒゲブトコバエ

 私が森で出会う嫌いな昆虫の筆頭です。別名「メマトイ」。顔の周りをしつこく飛び回って、時々目の中に飛び込んでくる、あれです。珍しくニガナの花にとまっていましたが、いかに小さいかが分かります。涙や汗を舐めに来ているということですが、日陰に入るとたかってきて、日差しの下に出ると離れます。このメマトイとクモの巣さえなければ、森の中を歩くのは気分が良いのですがね。

オンブバッタ

 草むらならどこにでもいるバッタの仲間ですが、名前の由来であるオンブ状態ではなく、単独で行動していました。ショウリョウバッタに似ていますが、大きさが全然違うので区別できます。

 また別の日、大手道から本丸に登り、春日山神社に降りる道のりを歩きました。

セミの抜け殻

 南三の丸で、アオキの葉につかまっているセミの抜け殻を見つけました。セミも日中はツクツクボウシとミンミンゼミが鳴くだけになりましたが、セミの抜け殻はこんなふうに夏の名残を長く留めます。それでも、いつかは葉と一緒に地面に落ち、土に帰っていきます。なんだか儚い、夏の記憶。

コカマキリ

 コカマキリの写真ですが、上下逆さになっているのではありません。葉っぱにぶら下がってこちらを睨んでいます。はじめ、地面をぴょんぴょん飛んでいたので、カマキリとは思いませんでしたが、体が小さい分身軽で敏捷ですね。手に乗せたら、しばらく動き回ってから、パタパタと飛んで行きました。


参考資料

  1. 各種図鑑
  2. 一般社団法人 福岡市薬剤師会「福岡で観察できる薬草 サワヒヨドリ」(https://www.fpa.gr.jp/herbdb/353/)
  3. 阿蘇ぺディア「サワヒヨドリ」(https://aso-dm.net/article/article-904)
  4. 再春館製薬所研究開発部「野馬追」(https://www.saishunkan.co.jp/labo/study/raw_material/yabatsui/)
  5. イー薬草・ドット・コム(http://www.e-yakusou.com/)
  6. 現代農業WEB(https://gn.nbkbooks.com/)
  7. NHKアーカイブス「越後上布 雪国生まれの上質な布」(https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0004990602_00000)
  8. 公益社団法人 日本薬学会(https://www.pharm.or.jp/)

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